気候変動対策の遅れ、2030年までに世界の企業に年間5,000億ドル超の負債リスクをもたらす可能性

September 25, 2025 JA Ecovadis JA

EcoVadisとBCGの新レポート、スコープ3排出量を財務リスクとして特定し、利益保護とサプライチェーンのレジリエンス強化へのロードマップを提示

パリ & ニューヨーク — 2025年9月23日 — EcoVadisとボストン コンサルティング グループ(BCG)による2025年カーボンアクションレポート「Scope 3: From Unmanaged Risk to Untapped Opportunity」によると、サプライチェーン排出量(スコープ3)への対策を怠ることで、世界全体で年間5,000億ドル以上の企業負債が発生する可能性があると警鐘を鳴らしています。

企業は現在、気候変動の直接的影響による「物理的リスク」と、政策・市場・技術変化に伴う「移行リスク」という二重の圧力に直面しています。

平均的な企業において、スコープ3排出量はスコープ1および2の合計の21倍にもかかわらず、報告している企業はわずか24% (日本では32%)削減目標を設定している企業はわずか8% (日本では12%) に留まります。一方でレポートは、サプライチェーンの気候行動に投資することで、将来的なカーボンプライス規制に伴うコスト回避を通じて3〜6倍のROI**を達成できる可能性があると指摘しています。

EcoVadis共同CEO兼共同創業者のピエール=フランソワ・タレール氏は次のように述べています。「気候変動への不作為がもたらす財務リスクは明白ですが、それと同時に大きな機会でもあります。スコープ3排出量に取り組むことで、企業は利益性を守りながら、より強靭なサプライチェーンを構築することができます。今こそ行動の時であり、最も効果的な出発点は、排出量の大部分を占めるサプライヤーとの協働です。」

本レポートでは、サプライチェーンの脱炭素化を加速するために企業が「認識」から「行動」へ移行するうえで最も効果的な5つの行動を提示しています:

  • サプライヤーエンゲージメント: サプライヤーと気候変動対策の目標と必要性について対話し、共同で排出量削減プロジェクトを開始する。

  • 排出量測定: 温室効果ガス(GHG)インベントリを確立し、事業全体(製品レベルデータを含む)でモニタリング。

  • 気候対応型チーム:全社的な低炭素戦略を主導する専任チームを設置。

  • 気候移行計画: 低炭素型ビジネスモデルへの移行プランを策定。

  • 排出量削減予算: 脱炭素化イニシアチブを推進する専用予算を確保。

BCGマネージングディレクター兼パートナーのダイアナ・ディミトロワ氏は次のように述べています。「1.5℃、あるいは2.0℃以内に気温上昇を抑えるために、今後5年間は極めて重要です。これにより、サプライチェーンの排出量は、コンプライアンス上の義務から、財務実績の重要な推進要因へと変化しています。年間5,000億ドル以上の負債リスクが懸かっていますが、果断な行動によってレジリエンスとリターンを獲得できるのです。」

本レポートの分析は、EcoVadisによる世界83,000社、133,000件以上のカーボン評価データと、BCGの統計的・データ分析を組み合わせ、スコープ3パフォーマンスに最も影響を与える要因を特定したものです。

2025年カーボンアクションレポート「Scope 3: From Unmanaged Risk to Untapped Opportunity」の全調査結果と推奨事項については、こちらからダウンロード (英文) してご覧いただけます。


EcoVadisについて

EcoVadisは、グローバルサプライチェーンにおけるサステナビリティ・インテリジェンスと評価を提供することで、企業活動におけるリスク低減及び改善を促進し、持続可能な社会を実現することをミッションとしています。現在250の業種と180カ国において150,000社以上のサプライヤーが評価受審しています。バイヤー企業は自社のサプライチェーンネットワークにおけるサプライヤー企業の評価を基に、強みや改善点の把握に加えて是正措置実施までをEcoVadisプラットフォーム上で統合管理することができます。

詳細については、ecovadis.comXまたはLinkedInをご覧ください


ボストン コンサルティング グループ(BCG)について

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

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