「環境への負荷を減らす」三新化学工業の決意を後押しした、EcoVadisの評価受審

三新化学工業株式会社 

品質保証部 課長 桶屋和博 様

有機ゴム薬品を中心とする化学メーカーとして、1949年、山口県で創業した三新化学工業株式会社。同社が生産する加硫促進剤はゴムの製造過程で重要な役割を果たし、自動車のタイヤやワイパーのゴム、ベルトなどさまざまな製品に使われています。

同社では、2000年代から他社に先がけてISO14001やISO9001の認証を取得。品質と環境マネジメントシステムを導入し、品質向上やCO2排出量削減を進めてきました。初めてEcoVadisの評価を受審したのは、2019年。2023年の評価では、シルバーメダルを取得しています。これまでの取り組みや、サステナビリティ推進の意義について、品質保証部の桶屋和博課長にお話をうかがいました。

——貴社では、これまでサステナビリティに対してどのような取り組みを進めてこられましたか。

「環境への負荷を減らす」という経営方針のもと、2000年代から品質と環境のマネジメントに取り組んできました。2003年に品質マネジメントシステムを導入し、ISO9001の認証を取得、製品の品質管理を強化しています。さらに、2006年には環境マネジメントシステムを導入、ISO14001の認証を取得しました。環境に与える影響を洗い出し、一つひとつ評価していったのです。

環境マネジメントシステムの導入により、社内で環境保全への意識が高まり、日本が目指す2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする)に向け、CO2排出量を削減するという目標を立てました。

当社では、化学製品を製造するため、大規模なプラントとそれを補助するユーティリティ設備や廃水処理設備を保有しています。プラントや各設備にある機器をリスト化し、エネルギー使用量とCO2排出量を明らかにしたのです。例えば熱源を作り出す蒸気ボイラーでは、かつてはCO2排出量が比較的多い、石油系の燃料を使用していました。この燃料をLNG(液化天然ガス)に切り替えることで、CO2の排出量を大きく削減することができたのです。もちろんコストがかかりますが、省エネルギーやCO2排出量削減に効果があるならば、環境のために投資をするという強い意志を持って、これまで変革を進めてきました。

——EcoVadisの評価受審はそうした変革の中で決まったのでしょうか。

その通りです。山口県内では当社のサステナビリティへの取り組みは早かったと思いますが、グローバルではもっと進んでいました。2019年、当社の顧客である株式会社ブリヂストンから、「EcoVadisの評価を受けてもらえませんか」と打診されたことがきっかけです。

(三新化学工業株式会社、平生工場の全景)

——評価を受審するにあたり、苦労したことはありますか。

製品の品質や環境については、マネジメントシステムを導入していたので、すぐに提出できるエビデンスがそろっており、回答もスムーズでした。一方、人権や倫理、持続可能な資材調達などについては、設問の意図を理解し、何をエビデンスとして提出するべきかを考えるところからのスタートで、当初は正直、戸惑いました。

もともと服務規律や安全衛生に関する規定はありましたし、原材料の購入に際して調査や確認は行っていましたが、あくまでも社内向けのルールだったのです。人権や持続可能な資材調達といった観点から、外部に公開できる形で整備されてはいませんでした。社内にサステナビリティの考え方を浸透させるべく、関係部署に説明しながらエビデンスをそろえる必要もあり、かなり大変な作業でしたね。
 

——EcoVadisの評価を受審したことで、どんな変化があったでしょうか。

「サステナビリティ」という言葉を意識して行動していたわけではないのですが、これまで取り組んできたことをエビデンスとして整え、提出した結果、高い評価をいただきました。第三者の視点からも持続可能性の高い行動を選択していたのだとわかり、自社の活動に自信が持てるようになったと感じます。同時に足りない部分もわかるので、「次は、グローバルな資材調達に関連するCSR方針を策定しよう」などと、より主体的な取り組みができるようになりました。

受審するたび、毎年着実にスコアが上がっており、2023年の評価ではシルバーメダルを取得しています。回を重ねるごとに社員の理解も深まり、最近では「評価受審のための資料を提供してください」と連絡すると、「ああ、EcoVadisですね」とすぐに社員が理解してくれるようになりました。皆が力を合わせ、前向きに取り組んでいることが、スコアやメダルという目に見える形での結果につながるのは、非常にうれしいですね。

第三者機関を利用していない企業では、独自のフォーマットでCSRアンケートを作成し、取引先に送っている場合も多いようです。調査票を作るにも、回答するにも時間と労力が必要ですが、今後それらがEcoVadisに集約されていけば、双方の負担が減るのではないかと考えています。

(平生工場のプラント 画像中央は蒸留塔​​)

——社外からの反応や、対外的な活動への影響はいかがでしょう。

既に50社ほどのグローバル企業から、EcoVadisのプラットフォームを通じてスコアの共有を求められていますし、日本企業からの問い合わせも徐々に増えています。営業の担当者は、お客様から「EcoVadisでシルバーメダルを獲得しているの? すごいね」と声をかけていただくこともあるそうです。

評価受審をきっかけに、温室効果ガス排出量の国際標準である「Scope1」「Scope2」の観点から、これまで取り組んできたCO2排出量の削減をさらに推進しようという機運も高まっています。現在の目標は、2030年度までに、2013年度比で46%のCO2を削減すること。CO2排出量の削減目標や、削減に向けたアクションを評価するEcoVadisの「カーボンスコア」も対外的に共有しています。再生可能エネルギーへの転換を進めることで、社会貢献につなげていきたいです。

一連の取り組みが県からも評価され、当社は「やまぐち再エネ電力利用事業所」として認定を受けています。結果、電力会社等から依頼を受けて再生可能エネルギーに関するセミナーに登壇したり、お客様からのご要望でカーボンニュートラルについての意見交換や講習会を行ったりする機会が増え、実際のお取引につながる例も出てきています。省エネ関連の事業者様と、工場の省エネに関する取り組みにおいて協力するなど、良い循環が生まれているんです。

セミナーなどで自社の活動を発信するためには、社内のデータを整理する必要があります。その際にも、EcoVadisの評価受審に向けエビデンスを提供した経験が役立ちました。自社の取り組みについて、外部の方に理解してもらうためにはどうすればいいかという視点を持つことができたと感じています。
 

——これからサステナビリティ推進に取り組もうと考えている企業へのアドバイスをお願いします。

当社が登壇する講演会やセミナーで、もっともご質問が多いのは、やはりCO2排出量削減の問題です。「削減しなければならないことはわかっているけれど、何から始めればいいかわからない」と悩む中小企業の方が非常に多いと肌で感じています。

そういったお悩みに対し、私たちからはこれまでの経験を踏まえ、「まず自社が使っているエネルギーを見える化する」「次に、エネルギー消費量を削減するための手法を知る」という2つのステップをお伝えしています。

スタート地点に立つためには、EcoVadisのような第三者機関の評価を受けることもおすすめです。社会の要請や自社の現状を知り、改善方法を学び、行動していく。そのサイクルを回すことが、CO2排出量削減をはじめとするサステナビリティ推進につながり、社会の変化に対応する力になるのではないでしょうか。

著者について

‏‏JA‎ E‏‏‏‏coVadis ‏‏JA‎

EcoVadisは、世界のビジネスにおいて最も信頼されるサステナビリティ評価の提供をミッションとする会社です。専門知識とエビデンスに基づく独自の評価システムにより、企業とその取引先のサステナビリティパフォーマンスを監視し、改善のための提案を行っています。EcoVadisによる評価は200の業種と175カ国の状況を網羅しており、実用的なスコアカードやベンチマーク、脱炭素に向けたアクションツール、インサイトを通じて、環境的で社会的かつ倫理的な改善を促進します。

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