エコバディス・ジャパンのアナリストチーム 日本企業の特徴を踏まえた分析・評価を提供

サステナビリティ評価を社内でSAQ(自己評価アンケート)を用いて行うと、意図せず自社の見解が加わってしまうリスクがある。一方、EcoVadisでは、エビデンスとなる書類をもとに専門アナリストが分析することで、評価の客観性を高めている。エコバディス・ジャパンの設立以来、人員拡大を続けているアナリストチームのリーダーである宮川早知代(みやかわ・さちよ)に話を聞いた。

ーEcoVadisのアナリストチームについて教えてください。

アナリストチームのメインの役割はスコアカードの発行です。バイヤー企業からサステナビリティ評価の受審依頼を受けたサプライヤー企業による質問票へのご回答と、その証拠となる証明書類の内容を精査し、独自の評価手法に基づいてサステナビリティ評価を行っています。

そのほか、サプライヤー企業サポートチームやヘルプセンターに寄せられた評価に関するご質問に対し、アナリストの対応が必要な場合には回答します。スコアカード発行後に、ご希望のあった企業に対し、アナリストがオンラインにて直接スコアカードに関する解説・質疑応答を行うサービスも提供しています。

また、質問票の設問のアップデートも重要な仕事のひとつです。日々、グローバルトレンドを注視しながら、更新内容の検討を重ねています。

サステナビリティ評価を担当するアナリストチーム チームリーダー 宮川早知代

ーアナリストチームが日本にもあることの強みは何でしょうか?

評価について言えば、全社共通の評価手法に基づいて行っていますので、評価者や言語によって評価の内容が変わることはありません。その点は、例えば日本語の書類でも英語の書類でも、結果は変わりません。日本にアナリストチームがあることで、日本企業ならではの特徴を踏まえた評価を行うことができます

さらに、日本企業からのお問い合わせには日本語による回答が可能となっています。アナリストの報告会についても日本語で提供するなど、日本企業の皆様が言葉の壁を感じることなく、グローバルなサステナビリティ評価を安心して受審できるよう、日々努めています。

2019年の日本オフィス設立当初から5年の歳月を経て、日本のアナリストチームは人員拡大とサービスの拡充を急速に更新しており、現在では日本企業の皆様から利用しやすいとの声が多く寄せられています。

ー質問票の内容のアップデートは、どのように行われていますか?

EcoVadisの評価は、「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な調達」の4つのテーマについて行います。カーボンスコアカードの発行も行っていますので、「カーボン(GHG排出)」を含めた専門チームをつくり、そこからさらに細分化して情報収集を行っています。

そのようにして集めた国際的なガイドラインの改訂内容や、各国の法改正の動向、さらにグローバルトレンドを考慮しながら、EcoVadisとして質問票に取り入れる必要がある内容か否かの検討を行います。そのなかで、例えば、ある国では規制が法制化されていても、まだ国際的にその意義が固まっていないものについては、トレンドを引き続き注視して様子をみていくことになります。

また、バイヤー企業の方から「この項目を入れてほしい」といったご要望があがることもあります。その場合も同様に、質問票に入れる必要性があるか否かについて、社会的要請を確認しながら検討し、必要と判断すれば取り入れています。

ー質問票のアップデートに関して、日本にアナリストチームがあることは意味をもつのでしょうか?

サステナビリティの分野では、ヨーロッパやアメリカでより先進的な取り組みが行われてきました。そのため、ヨーロッパやアメリカのガイドラインや規制の内容を注視していく傾向は今後も続くと思います。

日本やその他の国のトレンドやローカルニーズについても、当社では常に情報収集を行っています。なかでも、日本の場合はアナリストチームがあることから、日本語のみで公表されている文書の分析もスムーズに行えており、今後さらに日本のマーケットのニーズにお応えしていけるようになると思っています。

ーEcovadisの評価を受審するにあたり、日本企業が気を付けておくとよいことはありますか?

“行っている”ことだけではなく、“行っていない”ことも「見える化」することでしょうか。日本では、児童労働や汚職といった非倫理的な行為をしていないことは当たり前と考える企業もあります。しかし、グローバルスタンダードでは、その“行っていない”こともしっかりと主張して、問題のない企業であることを明示する必要があります。

また、日本国内では“行っていない”と言えても、海外拠点や取引先企業など、視野を広げるとどうでしょうか。近年は、自社だけではなくグループ全体のマネジメントが問われるようになっていますし、その際にEcoVadisの評価がツールとして役立つと思っています。

バイヤー企業の方から「まずは日本のサプライヤー企業から評価を行いたい」というご要望があがることもあるのですが、EcoVadisはグローバルレベルの対応が可能であり、どの言語でのご回答でも評価が行えます。ですから、日本企業だけをサプライチェーンとして評価するのではなく、EcoVadisに委託することの利点を活かして、海外のサプライヤーにも対象が広がればと思います。

ーサプライヤーの多くは中小企業ですが、サポートはありますか?

EcoVadisには、中小企業の評価を多く行っているという特徴があります。これは、EcoVadisがバイヤー企業のサプライチェーンのサステナビリティ活動を支援するという目的で発足した評価機関だからです。

評価を受審するサプライヤー企業の7~8割が中小企業であるため、キャパシティビルディング(基盤の強化)を目的としたツールがソリューションに含まれています。そのひとつがEcoVadisアカデミーというeラーニングツールです。これまで外部評価を受ける機会が少なかった企業も、EcoVadisアカデミーを視聴することで、質問票で何が問われているのかを、その背景情報も含めて学ぶことができます。

また、受審した企業の方からは、質問票やスコアカードを読み込むことで、サステナビリティに関する社会的な課題を理解できたという声が寄せられることもあります。特に中小企業は、リソースを割くことが難しいといった背景から、受審を開始して間もない時期には取り組みに必ずしも前向きになれないこともあるかと思います。しかし、日本では、一度受審するとサステナビリティ問題が今後取り組むべき課題であるという認識を深め、次年度に向けて評価を上げようと改善に取り組まれることが多いと感じます。


ー評価を受けて終わりではなく、改善につなげていけるところがEcovadis評価の特徴です。アナリストチームはそのプロセスにどのように関わっていますか?

評価を受審する企業向けに4つのプランをご案内していますが、そのなかの「セレクトプラン」では、スコアカード発行後に90分間のアナリストとのデブリーフィングサービスを提供しており、スコアの詳細な説明や今後の改善点の解説などを行っています。それ以外のプランでは、有料サービスとしてアナリストとの60分間のセッションを受けることができます。

※プランの詳細はこちら

また、アナリストチームでは、改善活動につながるよう、スコアカードの内容の改訂に取り組んでいます。日本企業を含めた評価受審企業の皆様からの「もっと評価手法に関する情報を開示してほしい」とのご要望を受けてプロジェクトチームを立ち上げ、開示内容の充実化を図っているところです。

ー今後の展望についてお聞かせください。

私たちアナリストの仕事は、データをもとに分析・評価を行うことです。評価対象となる証明書類は、企業名の記載や有効期限など、文書ガイドで提示している要件を満たしている必要があります。要件を満たしていない証明書類は評価対象外となるため、取り組みは行っているものの、文書が基準を満たしていないために高い評価が得られていない可能性もあります。

例えば、日本では社内の文書の書式や保管にルールがない場合もあり、誰かに見られる前提で文書を作成・保管していない企業も一部あります。しかし、急な監査などが入った場合にも証拠となる文書を提示できるように、対外的に有効な文書を作成、保管しておくことは重要です。

アナリストとしては、提出されたすべてが評価対象となる文書をもとに、日本のサステナビリティの真の成熟度を世界に発信していきたいと考えています。そのためにEcovadisのサポートが役立てばと思いますし、受審がサプライチェーン全体のマネジメント体制の強化や、サステナビリティ意識の向上につながればうれしいです。

インタビュー撮影場所:WeWork 麹町

宮川早知代(みやかわ・さちよ)

エコバディス・ジャパン株式会社
サステナビリティレーティング チームリーダー

<プロフィール>
コンサルティングファームにて、サステナビリティ戦略の策定や情報開示、外部評価向上の支援に長年従事する。2019年、エコバディス・ジャパン株式会社に立ち上げメンバーとして入社。アナリストチームのリーダーとして日本のアナリストチームを統括するかたわら、日本企業の評価を担当。スコアカードへの問い合わせの回答など、評価受審企業とのエンゲージメント向上に取り組む。

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EcoVadisは、世界のビジネスにおいて最も信頼されるサステナビリティ評価の提供をミッションとする会社です。専門知識とエビデンスに基づく独自の評価システムにより、企業とその取引先のサステナビリティパフォーマンスを監視し、改善のための提案を行っています。EcoVadisによる評価は200の業種と175カ国の状況を網羅しており、実用的なスコアカードやベンチマーク、脱炭素に向けたアクションツール、インサイトを通じて、環境的で社会的かつ倫理的な改善を促進します。

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創業75年以上の歴史をもつ老舗商社であるオリエント商事株式会社。建設資材や工業製品、空調ダクトなどを得意とし、大手重工業や自動車メーカー、コンビニチェーンなどの日本での発展に寄与してきました。

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