EcoVadisが見据える日本企業のサステナビリティ

欧米に比べ、サステナビリティへの取り組みが遅れている日本。しかし、企業の意識は徐々に高まり、グローバル展開で避けられない課題となっている。業界をリードするエコバディス・ジャパンの代表取締役・若月上(わかつき・のぼる)は、日本企業の課題と同社が果たす役割をどう見据えているのか。

ー EcoVadisについて教えてください。

EcoVadisは、「環境」「労働・人権」「倫理」「持続可能な調達」の4つの主要領域に焦点を当て、企業のサステナビリティを評価するためのグローバルなプラットフォームを提供している会社です。2007年にフランスで創業され、お客様はバイヤー企業とサプライヤー企業の二つのグループに分けられます。

バイヤー企業のお客様は、サプライチェーン全体の透明性を高め、リスクを管理するためにEcoVadisのプラットフォームを利用します。一方、サプライヤー企業のお客様はバイヤー企業からの依頼を受けてEcoVadisの評価を受審し、自社の取り組みを改善するために利用しています。



ー 日本法人はどのようにして立ち上がったのでしょうか?

日本法人の設立は2019年で、当初からフランス本社の日本にかける意気込みは並々ならぬものでした。様子見のために日本に進出するのではなく、「株式会社」を立ち上げ、ローカルに根付いた事業を展開していくという覚悟がありました。私を含めて少数の日本人メンバーでスタートしましたが、本社からシニアアナリストが駐在し、持続可能なサプライチェーン管理の必要性に関する日本企業への啓蒙活動やトレーニングに注力してくれましたし、創業者も頻繁に来日して日本市場への本気度を示していました。こうした本社の全面的な支援が、日本法人の立ち上げを後押ししました。

おかげさまで、日本法人立ち上げ前の2018年までと比較し、サステナビリティ評価を受審していただいている日本でのサプライヤー企業数は650%も伸びています。まだ道半ばではありますが、ここまでこれたのは、まさに時代の要請と私たちの活動理念が一致したことの表れだと思っています。

ー 日本企業が抱えるサステナビリティの課題はどこにありますか?

日本法人の設立当時、日本のサステナビリティに対する成熟度は欧米に比べてまだ低く、啓蒙活動が必要不可欠でした。率直に申し上げると、現在もその傾向は変わりません。特に人権やダイバーシティの分野で大きく後れをとっており、欧米の機関投資家から指摘を受けているのが現状です。

例えば、管理職における男女比率の格差はよく知られるところです。日本は「ESG」(環境・社会・ガバナンス)の「S」に対する理解がまだ進んでいませんし、児童労働や強制労働の話題にピンとこない日本のバイヤー企業の方たちも少なくありません。サプライチェーンの上流でどのような皺寄せがあるのか、差し迫った課題として感じられていないことが多いのです。

一方、特に欧州では法規制の整備など人権デューデリジェンスの取り組みが進んでいますし、北米もそれに倣って迅速に動いています。私たちもまだまだ日本での啓蒙が足りないと感じているところで、企業の皆様へのご説明にもさらに力を入れていきたいと思っています。

ー サステナビリティの観点で、日本企業と他国の企業を比べて優れた点はありますか?

環境において日本は一定の評価を得ていますし、リチウムイオン電池や太陽光発電、風力発電など、クリーンエネルギー関連技術は世界的に高く評価されています。例えば、リチウムイオン電池では日本企業が1990年代から研究開発を重ね、現在でも電池セルやパック、材料で高いシェアを占めています。また、太陽光発電セルの変換効率は世界トップクラスで、風力発電における翼の軽量化技術や、洋上風力発電向けの大型タービン開発にも注力しています。

このように、日本は環境分野では一定の技術力を有していますが、さらなるイノベーションが求められる状況です。気候変動対策は大きな課題であり、サステナビリティ実現に向けて、日本企業にはさらなる取り組みが期待されています。

いずれにせよ、環境と人権は別々の問題ではなく、相互にリンクしています。サプライチェーン全体でサステナビリティを向上させるため、両分野に並行して取り組む必要があります。

ー 現在のEcoVadis日本法人の体制について教えてください。

世界各地に拠点を持つフランス発の会社ですが、日本法人では日本のビジネス文化を理解したサポート体制を構築しています。欧米式のやり方ではなく、日本の慣習や市場特性に合わせたチーム作りを意識してきました。現在は、50人以上のローカルスタッフが日本法人を支えており、お客様がEcoVadisを導入される際は日本のスタッフが対応します。導入後も、日本にある専属のカスタマーサクセスチームが日本語でサポートするため、安心してご利用いただけます。

ー 企業にとってのEcoVadis導入のメリットは何でしょうか?

徹底的にエビデンスに基づいた評価を行うという点に尽きると思います。これまではSAQ(自己評価アンケート)のやりとりで終わっていたところを、証明できるものを提出していただき、丁寧に分析するのがEcoVadisの役割です。

バイヤーの皆様がご自身で分析を行う場合、意図せずに自社の見解に影響されることがあり、これが結果に反映されてしまうことも考えられます。そうしたリスクを排除し、客観的な分析を行うのがEcoVadisのアナリストです。

また、サプライチェーンのサステナビリティ管理は複雑で多岐にわたります。私たちが提供するソリューションを利用することで、管理プロセスを効率化し、サプライヤーとの連携を強化できます。このプロセスを通じて、バイヤーとサプライヤーは改善への取り組みにより多くの時間を割くことができます。



ー EcoVadisの日本での浸透に向けた展望について教えてください。

グローバルではすでに1200社を超えるバイヤー企業がEcoVadisを導入し、13万社以上のサプライヤー企業が私たちの評価を受審しています。今後も、バイヤー企業の増加と、それに伴うサプライヤー企業の評価需要の拡大が見込まれています。

そうした流れの中で、EcoVadisの評価が「お墨付き」となり、デファクトスタンダード(事実上の標準)になることが目標です。一方で、評価の信頼性を維持するため、私たち自身がこれまで以上に襟を正して業務に邁進する必要があるでしょう。

日本市場においては、近い将来、バイヤー企業の数を2倍に増やすことを目指しています。欧州や北米にすでに拠点を構えている企業だけではなく、今後さらなるグローバル化を目指す日本の企業にとって、サプライチェーンの世界基準でのサステナビリティ管理は喫緊の課題です。そうした企業をサポートするべく、引き続き日本の特性を踏まえた組織のローカライズを推進し、より良いソリューションを提供していきたいと思っています。

<エコバディス・ジャパンチームご紹介記事>
・評価依頼企業(バイヤー)サポートチームの記事はこちら

若月上(わかつき・のぼる)

エコバディス・ジャパン株式会社
代表取締役
<プロフィール>
米国議決権行使助言およびコーポレートガバナンスのコンサルティング・ファーム日本法人代表、ムーディーズ・A・カンパニー日本法人代表を経て、2019年1月にエコバディス・ジャパン株式会社を設立。専門はコーポレートガバナンスおよびSRI。

インタビュー撮影場所:WeWork 麹町

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EcoVadisは、世界のビジネスにおいて最も信頼されるサステナビリティ評価の提供をミッションとする会社です。専門知識とエビデンスに基づく独自の評価システムにより、企業とその取引先のサステナビリティパフォーマンスを監視し、改善のための提案を行っています。EcoVadisによる評価は200の業種と175カ国の状況を網羅しており、実用的なスコアカードやベンチマーク、脱炭素に向けたアクションツール、インサイトを通じて、環境的で社会的かつ倫理的な改善を促進します。

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